飲食店営業許可の施設基準とは?厨房・手洗い・シンクなど開業前のチェックポイント

飲食店を開業するときに避けて通れないのが、保健所の飲食店営業許可です。

「厨房にシンクはいくつ必要なのか」
「家庭用のキッチンでも営業できるのか」
「手洗い設備はどんなものならいいのか」

店舗を作り始めてから施設基準を満たしていないことが分かると、 追加工事が必要になる可能性があります。

この記事では、鹿児島県で飲食店を開業する場合を中心に、 飲食店営業許可で確認される主な施設基準を分かりやすく解説します。

曽於市、霧島市、鹿屋市、志布志市など鹿児島県内で飲食店の開業を検討している方は、 店舗の契約や内装工事を進める前に確認しておきたい内容です。

飲食店を営業するには原則として営業許可が必要

飲食店で食品を調理し、お客様に提供する営業を行う場合は、 原則として食品衛生法に基づく「飲食店営業」の許可が必要です。

許可を取得するためには、単に申請書を提出するだけではなく、 営業する店舗が施設基準を満たしていることが必要です。

鹿児島県では、

  • すべての許可業種に共通する施設基準
  • 営業許可業種ごとの施設基準

が定められています。

飲食店営業許可全体の申請やサポートについては、こちらもご覧ください。

▶ 飲食店営業許可申請サポートについて詳しく見る

飲食店営業許可の施設基準で確認したいポイント

実際の基準は店舗の構造や提供する料理、営業形態などによって異なりますが、 一般的な飲食店では次のような設備を確認しておく必要があります。

1.厨房と客席などが衛生的に区画されているか

食品を扱う場所は、屋外からの汚染や、 食品を扱わない場所からの汚染を防止できる構造にする必要があります。

例えば、住宅と店舗が一体になっている場合には、 生活スペースと営業用の厨房を適切に区画することが重要です。

家庭用キッチンをそのまま飲食店営業に使用できるとは限りません。

2.厨房の床・壁・天井は清掃しやすいか

厨房は、日常的に清掃や洗浄を行う場所です。

そのため、床・壁・天井などは、 清掃・洗浄・必要に応じた消毒がしやすい材質や構造 であることが求められます。

特に床を水で洗浄するような店舗では、 床材や排水設備についても確認が必要です。

3.従業員用の手洗い設備

飲食店営業許可で特に注意したい設備の一つが、 従業員用の手洗い設備です。

施設には、手指を洗浄・消毒できる流水式の手洗い設備を 必要な数設置する必要があります。

さらに重要なのが水栓です。

手を洗った後に蛇口を手で触ることで再び手が汚染されないよう、 洗浄後の手指の再汚染を防止できる構造 であることが求められます。

例えば、店舗設計時には、 レバー式・センサー式などの設備について保健所へ確認しておくと安心です。

4.食品や器具を洗うための洗浄設備

食品、食器、調理器具などを衛生的に洗浄できる設備も必要です。

ここで注意したいのが、 「飲食店なら必ずシンクは○槽必要」と一律に判断しないことです。

必要な設備は、取り扱う食品、調理工程、営業形態などによって異なる可能性があります。

そのため、中古物件を居抜きで借りる場合などでも、 「前の飲食店がこの設備で営業していたから大丈夫」と判断せず、 現在の営業内容を前提に管轄保健所へ確認することをおすすめします。

5.十分な給水設備

店舗では、必要な場所に十分な量の水を供給できる給水設備が必要です。

水道水以外、例えば井戸水などを使用する場合には、 水質検査や消毒設備などが必要になる場合があります。

郊外の店舗や古民家を利用した飲食店では、 使用する水が水道水なのか井戸水なのか も早い段階で確認しておきましょう。

6.排水設備

厨房から出る排水を適切に処理できる設備も必要です。

排水設備には、

  • 十分な排水能力があること
  • 汚水が逆流して食品を汚染しないこと
  • 施設外へ適切に排水できること

などが求められます。

7.冷蔵庫・冷凍庫

生鮮食品など温度管理が必要な食品を扱う場合は、 食品を衛生的に保存できる冷蔵・冷凍設備が必要です。

また、冷蔵・冷凍設備には、 庫内温度を確認できる温度計も重要です。

8.食品・調味料などの保管設備

食品や原材料は、汚染を防ぎながら適切な温度や状態で保管できる設備が必要です。

また、洗剤や殺菌剤などの薬剤については、 食品とは区別して保管できるようにしましょう。

営業許可のためだけでなく、 日々の衛生管理でも非常に重要なポイントです。

9.トイレとトイレ用の手洗い

トイレについても施設基準があります。

作業場へ衛生上の悪影響を及ぼさない構造であることに加え、 トイレには専用の流水式手洗い設備が必要です。

10.ねずみ・昆虫などの侵入防止

食品を扱う施設では、 ねずみや昆虫などが侵入しないための対策も必要です。

店舗の扉、窓、換気設備、排水口など、 外部と接する場所について確認しておきましょう。

食品衛生責任者も必要

施設を整えるだけでは飲食店営業を始めることはできません。

飲食店などの営業施設では、 営業施設ごとに食品衛生責任者を設置する必要があります。

調理師、栄養士、製菓衛生師など一定の資格を持つ方は 食品衛生責任者になることができます。

該当資格を持っていない場合でも、 食品衛生責任者養成講習会を受講することで、 食品衛生責任者になることができます。

HACCPに沿った衛生管理も必要

現在は原則として食品等事業者に HACCPに沿った衛生管理が求められています。

一般的な小規模飲食店の場合は、 「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に対応するケースが多くなります。

具体的には、

  • 衛生管理計画を作成する
  • 従業員へ周知する
  • 必要に応じて手順書を作成する
  • 衛生管理を実施する
  • 実施状況を記録する
  • 定期的に内容を見直す

といった運用が必要になります。

一番大切なのは「工事前に保健所へ相談する」こと

飲食店営業許可で特に重要なのが、 店舗の内装工事を完成させる前に管轄保健所へ相談することです。

厨房を完成させた後で、

  • 手洗い設備が基準を満たしていない
  • 厨房の区画が足りない
  • 給排水設備を変更する必要がある
  • 必要な洗浄設備が不足している

などが分かると、追加工事が必要になる可能性があります。

飲食店を開業するときは、 店舗契約 → 設計 → 工事 → 許可申請 と単純に進めるのではなく、 設計段階で保健所へ相談しておくことが重要です。

行政書士としてヒアリングしたいポイント

飲食店営業許可の相談を受けた場合には、 まず次の事項を確認すると案件を整理しやすくなります。

  • 店舗所在地
  • 新築・居抜き・既存店舗のどれか
  • 提供する料理・飲み物
  • 店内飲食かテイクアウトか
  • 食品の製造・販売も行うか
  • 厨房設備の配置
  • 手洗い設備
  • 洗浄設備
  • 給水方法(水道・井戸水など)
  • 冷蔵・冷凍設備
  • 食品衛生責任者になる人
  • 開業予定日

特に「何を作って、どこで、どのように提供するのか」 によって必要な許可や設備が変わる可能性があります。

まとめ

飲食店営業許可では、申請書類だけでなく、 実際の店舗が施設基準を満たしていることが重要です。

特に確認したいのは、

  • 厨房の区画
  • 清掃しやすい床・壁など
  • 従業員用手洗い設備
  • 食品・器具等の洗浄設備
  • 給排水設備
  • 冷蔵・冷凍設備
  • 食品や薬剤等の保管設備
  • トイレ
  • 防虫・防鼠設備

などです。

また、食品衛生責任者の設置と、 HACCPに沿った衛生管理についても準備しておく必要があります。

店舗を作ってから設備の問題が判明すると負担が大きいため、 店舗設計・内装工事の前に管轄保健所へ相談することをおすすめします。

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